Google広告に「チャネルの優先度設定」と予算配分が追加。2027年2月の移行も解説

Google広告に、キャンペーンの予算をどのチャネルから優先して使うかを指定できる「チャネルの優先度設定(Channel prioritization)」と、優先度の低いチャネルに使う金額の上限を決める「予算配分(Budget allocation)」が追加されました。2026年10月15日から、検索・ショッピング・P-MAX・デマンド ジェネレーションの各キャンペーンで、順次利用できるようになります。

これまで、検索パートナーやGoogle ディスプレイ ネットワーク(GDN)は「配信する」か「配信しない」かの二択で管理するのが基本でした。今回の機能を使うと、配信を止めずに「後回しにする」「使う金額に上限を設ける」といった中間の選択ができます。

また、ディスプレイ ネットワークを有効にしている検索キャンペーンは、2027年2月にこの新しい仕組みへ自動で移行します。本記事では、機能が追加された背景と仕組み、入札戦略ごとの効き方、2027年2月の移行に向けて確認しておきたいことを解説します。

※本記事の執筆時点(2026年10月21日)では、この機能のヘルプは英語版のみ公開されています。本記事の機能名・項目名は英語版をもとにした表記のため、管理画面の日本語表記とは異なる場合があります。

この機能が追加された背景

Googleは公式ブログで、広告主から「予算がどこで使われているのかを把握したい」「使い道を自分で選びたい」という声があることを、今回の機能を追加した理由として挙げています。Smart Bidding Explorationやキャンペーンの合計予算に続く、広告主側で配信をコントロールするための機能の1つという位置づけです。

もうひとつ示されているのが、検索パートナーやGDNを「全部オンか、全部オフか」で管理する使い方を変えることです。これまで成果が合わずにオフにしていた場合でも、優先度を下げて使う金額に上限を設ければ、配信を完全に止めずに試せるようになります。

これまでとこれからのチャネルの管理方法の違いこれまで配信する(オン)配信しない(オフ)オンかオフの二択で管理これから高優先度:先に使う低優先度:残りを使う低優先度+上限○%上限0%:配信しない
図1:チャネルの管理方法の違い

また、検索キャンペーンのディスプレイ拡張も、2027年2月にこの仕組みへ移行します。今後、チャネルごとの予算の扱いは、チャネルの優先度設定と予算配分にまとまっていくことになります。

Nodus Bleu 広告運用チームの見方
ここからは公式の説明ではなく、当チームの見方です。
検索パートナーやGDNは、CVRが低くなりやすいことからオフにして運用しているケースが多いと感じています。今回の機能には、そうしたチャネルを「止める」以外の形で使ってもらうための選択肢を用意する、という側面もあると考えています。
あわせて、検索キャンペーンのディスプレイ拡張の配分の仕組みを、この新しい設定に一本化していく狙いもあると見ています。

参考:Guide your campaign spending with new priority and allocation features(Google Ads & Commerce Blog)

チャネルの優先度設定と予算配分の仕組み

チャネルの優先度設定

各チャネルを「High priority(高優先度)」と「Low priority(低優先度)」の2段階に分ける機能です。予算はまず高優先度のチャネルで使われ、使い切れなかった分が低優先度のチャネルに回ります。

チャネルの優先度設定で予算が使われる順番キャンペーンの1日の予算① 高優先度(High priority)のチャネル例:Google検索 → 先に予算を使う使い切れなかった分② 低優先度(Low priority)のチャネル例:検索パートナー・GDN上限:平均日予算の◯%(任意で設定)
図2:チャネルの優先度設定による予算の使われ方

初期設定では、すべてのチャネルが高優先度になっています。そのため、何も設定しなければ配信の仕方は変わりません(後述する2027年2月の移行対象のキャンペーンを除く)。

優先度は、アカウント単位・共有予算単位・キャンペーン単位で設定できます。アカウント単位の設定がそのキャンペーンタイプ全体の既定値になり、共有予算やキャンペーンごとに上書きする形です。

予算配分

低優先度に設定したチャネルについて、1日に使う金額の上限を割合(%)で指定できる機能です。基準になるのは実際の消化額ではなく、キャンペーンの平均日予算です。たとえば平均日予算が10,000円で5%を指定すると、そのチャネルの1日の消化は500円以内を目安に調整されます。

予算配分の上限の計算例平均日予算10,000円で、低優先度チャネルの予算配分を5%にした場合高優先度チャネルを中心に消化0円10,000円低優先度チャネル:1日500円まで(目安)※上限は目安で、日によって超えることがあります
図3:予算配分の上限の考え方(平均日予算10,000円・5%の場合)
  • 上限は「できる限り守る」という扱いで、日によっては指定した割合を超えることがあります。
  • 上限は毎日リセットされ、使い残しや使いすぎた分は翌日に繰り越されません。
  • 0%を指定すると、そのチャネルには配信されません。
  • 共有予算の場合は、共有予算全体(紐づくすべてのキャンペーン)に対して上限が適用されます。

キャンペーンタイプごとの対象チャネル

キャンペーンタイプ優先度を設定できるチャネル予算配分
検索Google検索、検索パートナー、Google ディスプレイ ネットワーク利用できる
ショッピングGoogle検索、検索パートナー利用できる
P-MAXGoogle チャネル、検索パートナー、Google ディスプレイ ネットワーク利用できる
デマンド ジェネレーションGoogle チャネル、Google ディスプレイ ネットワーク利用できない(優先度のみ)

P-MAXとデマンド ジェネレーションの「Google チャネル」は、検索・YouTube・マップ・Gmail・Discoverなどをまとめた区分です。これらを個別に優先度分けすることはできません。個別に制御したい場合は、チャネルごとに配信を止められる検索キャンペーンやデマンド ジェネレーションキャンペーンを使うよう案内されています。

参考:Guide your campaign spending with new priority and allocation features(Google Ads & Commerce Blog)

参考:About channel prioritization and budget allocation(Google 広告 ヘルプ)

入札戦略によって効き方が変わる

チャネルの優先度設定は、すべてのキャンペーンで同じように効くわけではありません。入札戦略と、予算による制限を受けているかどうかで、次のように変わります。

入札戦略優先度設定の効き方
目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果・目標クリック単価(予算による制限なし)どのチャネルでも目標の達成を目指すため、優先度は配分にほぼ影響しない。低優先度チャネルの予算配分の上限は適用される
目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果・目標クリック単価(予算による制限あり)目標の範囲内で高優先度チャネルから消化する。高優先度でこれ以上使うと目標を超える場合は、目標を満たせる範囲で低優先度チャネルに回る
コンバージョン数の最大化・コンバージョン値の最大化・クリック数の最大化・個別クリック単価・目標インプレッション シェア高優先度チャネルから消化し、使い切れなかった分が低優先度チャネルに回る

注意したいのは、予算に余裕がある目標値ベースのキャンペーンでは、優先度だけを設定してもほとんど変化がない点です。こうしたキャンペーンで特定のチャネルの消化を抑えたい場合は、低優先度にしたうえで予算配分の上限を指定する必要があります。

参考:About channel prioritization and budget allocation(Google 広告 ヘルプ)

2027年2月、検索キャンペーンのディスプレイ拡張が新しい設定に移行

ディスプレイ ネットワークを有効にしている検索キャンペーン(ディスプレイ拡張)は、2027年2月から自動的にチャネルの優先度設定と予算配分の仕組みに移行します。移行後は現在の配分の仕組みがなくなるため、Google検索・検索パートナー・ディスプレイ ネットワークの間で消化の割合が変わる可能性があります。

検索キャンペーンのディスプレイ拡張の移行スケジュール2026年10月15日〜新しい設定が順次提供(設定は任意)〜2027年1月未設定の検索キャンペーンは、現在のディスプレイ拡張のまま配信2027年2月ディスプレイ拡張を使う検索キャンペーンが新しい仕組みへ自動で移行今の配信に近い状態を保つにはGDNを「低優先度」+予算配分「50%」に設定
図4:検索キャンペーンのディスプレイ拡張の移行スケジュール
  • これまでに近い状態を保ちたい場合は、ディスプレイ ネットワークを低優先度にして、予算配分を50%に設定するよう案内されています。
  • 目標インプレッション シェアを使っている検索キャンペーンでは、移行後はディスプレイ ネットワークに配信されなくなります。
  • 2027年2月より前に優先度を設定した検索キャンペーンは、設定した時点で新しい仕組みに切り替わり、現在のディスプレイ拡張の予算の扱いは使われなくなります。

参考:Guide your campaign spending with new priority and allocation features(Google Ads & Commerce Blog)

参考:About channel prioritization and budget allocation(Google 広告 ヘルプ)

確認・対応しておきたいこと

ディスプレイ ネットワークがオンの検索キャンペーンを洗い出す

2027年2月の移行で影響を受けるのは、ディスプレイ ネットワークを有効にしている検索キャンペーンです。対象のキャンペーンと、ディスプレイ ネットワークでの現在の消化割合を確認しておくと、移行後に配分が変わったかどうかを判断できます。目標インプレッション シェアを使っているキャンペーンは、移行後にディスプレイ ネットワークへ配信されなくなる点も考慮しておきましょう。

設定場所を確認する

アカウント単位では、次の手順で設定します。

  1. アカウント設定を開く
  2. 「Channel Prioritization(チャネルの優先度設定)」のカードを開く
  3. 対象のキャンペーンタイプ(検索、ショッピング、デマンド ジェネレーション、P-MAX)を選ぶ
  4. 各チャネルに高優先度・低優先度を割り当てる(低優先度のチャネルは、必要に応じて予算配分の割合を入力)
  5. 保存する

キャンペーン単位では、キャンペーンの「設定」から同じカードを開き、「キャンペーン単位の設定を使用」を選んで上書きします。この機能は順次提供されているため、カードが表示されない場合は、まだアカウントに提供されていない可能性があります。

利用上の制限を押さえておく

  • MCC(クライアント センター)アカウントからは設定できず、各アカウントまたはキャンペーンで設定する必要があります。
  • Google 広告 API とGoogle 広告エディタは今後対応予定です(執筆時点では、管理画面とSearch Ads 360で設定できます)。
  • キャンペーンの合計予算を使っている場合、チャネルの優先度設定が使えるのはデマンド ジェネレーションキャンペーンだけです。
  • 共有予算で使う場合は、共有予算に紐づくキャンペーンがすべて同じキャンペーンタイプである必要があります。
  • カスタムテストでも利用できますが、複数のキャンペーンで予算を共有するテストには対応していません。

停止中の検索パートナー・ディスプレイ ネットワークを見直す

これまで成果が合わずに検索パートナーやディスプレイ ネットワークを停止していたキャンペーンでも、低優先度にして小さめの予算配分を設定すれば、消化額を抑えながら配信を試せます。年末の繁忙期に向けて配信量を増やしたい場合の選択肢として検討してみましょう。

参考:About channel prioritization and budget allocation(Google 広告 ヘルプ)

運用担当者の視点
担当しているアカウントでは、検索パートナーやディスプレイ ネットワークは、CVRが低くなりやすいためオフにすることが多いです。
一方で、オンのままでもそれほど配信されないアカウントもあり、影響の大きさはアカウントによって異なります。
今回の機能はすぐに使うというより、まずは様子を見る予定です。この機能が使えるようになる前に、検索パートナーやディスプレイ ネットワークにどれくらい配信され、どれくらい成果が出ているかを、チャネル別に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

Google広告のチャネルの優先度設定と予算配分によって、検索パートナーやディスプレイ ネットワークを「止めるか、使うか」ではなく、「後回しにする」「上限を決めて使う」という形で管理できるようになりました。

ただし、予算に余裕がある目標値ベースのキャンペーンでは、優先度だけを設定しても配分はほとんど変わりません。消化を抑えたいチャネルには、低優先度とあわせて予算配分の上限を設定することが必要です。

ディスプレイ ネットワークを有効にしている検索キャンペーンは、2027年2月に自動で新しい仕組みへ移行します。対象のキャンペーンと現在の消化割合を早めに確認し、これまでの配信を続けたいのか、配分を見直したいのかを決めておきましょう。