「NURO光なのに離れた部屋だとWi-Fiが遅い、途切れる……」そんな悩みを、プロ推奨の「有線バックホール」術で根本から解決します。
はじめに:NURO光「NSD-G1000TS」のポテンシャルと現実の壁
2026年現在、個人向け光回線として圧倒的なシェアを誇るNURO光。提供される最新のONU(回線終端装置)であるNSD-G1000TSは、Wi-Fi 6に対応し、最大通信速度4.8Gbps(理論値)を誇る非常に高性能な機器です。
しかし、どれほど親機がハイスペックであっても、物理的な「電波の限界」は避けられません。ONUを設置しているリビングから離れた寝室や子供部屋、2階の書斎などでWi-Fiが不安定になったり、勝手にモバイル通信(5G)に切り替わったりしてしまうのは、多くの方が直面する共通の課題です。
結論から申し上げます。家中どこでも安定して爆速のWi-Fiを使うための正解は、中継機を置くことでも、高価なメッシュWi-Fiを無線で組むことでもありません。「フラットLANケーブルを使って、離れた部屋まで物理的に繋ぎ、そこに2台目のルーターを置く」。これこそが、電波法に守られた日本の住宅環境における唯一無二の最適解です。
なぜ無線中継ではダメなのか? 日本の「電波法」と物理的制約
「中継機を買えば解決する」という安易な宣伝が世に溢れていますが、なぜそれだけでは不十分なのでしょうか。そこには日本特有の法律と、電波の物理的な性質が深く関わっています。
法律による出力制限(電波法)
日本の総務省:電波法では、Wi-Fiルーターやスマホ、タブレット、ノートPCなどの無線機器の出力が厳しく規制されています。どれほど高級なルーターであっても、見通しの良い場所で最大10m〜20m程度が、まともに高速通信ができる限界です。メーカーが「戸建て3階建て対応」と謳っていても、それはあくまで障害物がない理想状態での話です。
障害物による減衰
家の中には壁、天井、床、そしてドアがあります。これらの障害物を電波が通過するたびに、受信強度は急激に低下します。特にNURO光が採用している高速な5GHz帯(Wi-Fi 6等)の電波は、直進性が高い一方で障害物に弱く、壁を一つ挟むだけで速度が半減することも珍しくありません。
無線で中継機を置くということは、「弱くなった電波を拾って、さらに弱くして出す」行為に他なりません。通信エラーが多発し、結果として速度低下や切断を招くのです。
解決策:ONUと追加ルーターを「1対1」で有線接続する
家中を完璧なWi-Fiエリアにするための正しい設計図は以下の通りです。
最強のネットワーク構成
NURO光 ONU (NSD-G1000TS)
↓ (物理的なフラットLANケーブルでの配線)
追加の無線LANルーター (離れた部屋に設置)
中継機ではなく「ルーター」を追加購入し、それを1階の親機と1対1で有線接続します。無線ルーターを「数珠つなぎ(無線で繋いでいく)」にするのではなく、すべての追加ルーターが大元のONUと直接LANケーブルで繋がっている状態がベストです。これにより、末端の部屋でも親機と全く同等の通信品質を確保できます。
準備するものリスト:何を買えばいいのか?
このプロジェクトを成功させるために、以下の3点を用意しましょう。
① 追加の無線LANルーター
おすすめは世界シェアNo.1を誇るグローバルメーカー(TP-LinkやASUSなど)の製品です。安価で処理能力が高く、LANケーブルを刺すだけで動作モードを自動認識する機能が優れています。NURO光の速度を活かすため、Wi-Fi 6以上に対応したモデルを選びましょう。
② フラットLANケーブル(Cat6A)
配線を「隠す」ために必須なのがフラットタイプです。厚さ1.5mm程度の薄いものを選びます。カテゴリーは必ず「Cat6A(カテゴリー6A)」を選んでください。10ギガ対応のNURO光において、古い規格(Cat5e等)のケーブルを使うと、そこがボトルネックになり速度が出ません。
③ 強力な両面テープとハブ
ケーブルを壁や床の隅に固定するために、ホームセンター等で「強力な両面粘着テープ」を購入します。また、ONU背面のLANポートが足りない場合は、ギガビット対応の「スイッチングハブ」も用意しましょう。
5. 実践!DIYによる「見えない」配線とセッティング手順
半日あれば完了する、具体的な施工手順を解説します。
手順1:配線のルート決め
ONUから離れた部屋まで、ケーブルを這わせるルートを決めます。ポイントは「壁と床の境界(幅木)」または「壁と天井の境界」に沿わせることです。ここに沿って真っ直ぐにケーブルを引っ張り、両面テープで固定していけば、言われなければ気づかないレベルで綺麗に仕上がります。
手順2:ドアの隙間を攻略する
ドアや引き戸にぶつかったら、ドアを閉めた状態で隙間を確認してください。日本の住宅のドアは、通常2mm程度の隙間が空いています。フラットケーブルなら、ここを通過させてドア枠に沿ってテープで固定すれば、開閉に一切支障はありません。
手順3:機器の接続とモード設定
- 購入したルーターを離れた部屋に設置します。
- ケーブルの片側をONUのLANポートへ、もう片側を追加ルーターの「WAN端子(またはInternet端子)」へ接続します。
- 【最重要】 追加したルーターはすべて「ブリッジモード(アクセスポイントモード)」に設定してください。プロバイダの接続設定は大元のNSD-G1000TSが行っているため、追加ルーターは「電波を出すだけの機械」として動作させる必要があります。
手順4:再起動と速度確認
接続が完了したら、大元のONUと、追加したすべてのルーターの電源を一度切り、数分待ってから「ONU → ルーター」の順で再起動します。ランプが正常に点灯したら、スマホ等で速度測定サイト(fast.comなど)にアクセスし、爆速環境が実現したことを実感してください。
この方法による圧倒的なメリット
無線中継ではなく、有線バックホール(有線でルーターを繋ぐこと)を採用することで得られるメリットは計り知れません。
- 速度の減衰がゼロ: 1階で測っても2階で測っても、ほぼ同等のスピードが得られます。
- 圧倒的な安定性: 壁による干渉を受けないため、オンラインゲーム中にプツプツ切れるようなストレスから解放されます。
- コストが安い: 高価なメッシュWi-Fiセットを買い直すよりも、安価なルーター1台とLANケーブルの方が遥かに安上がりです。
- 将来性: ケーブルさえCat6Aで引いておけば、将来さらに速いWi-Fi規格が登場しても、ルーターを付け替えるだけで対応可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. ONUのLANポートが足りなくなりました。
A. 数千円で購入できる「スイッチングハブ」をONUに繋いでください。ポートを簡単に増設できます。この時、ハブも必ず「1000BASE-T」以上の規格に対応したものを選んでください。
Q. ケーブルの長さはどれくらい買えばいいですか?
A. 実際に這わせるルートを紐などで測り、それよりも1〜2m長めのものを購入してください。余った分はルーターの手前で丸めておけば問題ありませんが、足りないと繋ぎ直すことができないため、余裕を持つのが鉄則です。
まとめ:物理的な「繋がり」が最高のWi-Fi環境を作る
NURO光の超高速回線を、家の一部だけでしか使えないのは非常にもったいないことです。NSD-G1000TSという優れた親機があるからこそ、その先を「有線」でしっかり繋いであげてください。
- 日本の住宅で「壁」を越えるには有線LAN配線が最強。
- Cat6Aフラットケーブルなら目立たず10ギガ対応が可能。
- 追加ルーターは必ずブリッジモードで使用すること。
- 一度のDIYで、家中どこでも快適なネット天国が手に入る。
インターネットはもはや生活の基盤です。少しの手間をかけて物理的なインフラを整えることで、その後の何年もの間、ネットの遅さにイライラすることのない快適な生活が手に入ります。ぜひ、この週末に「家中爆速化プロジェクト」に挑戦してみてください。
📋 参考文献・公式ソース一覧
- ●NURO光:提供される接続機器(ONU)ラインアップ(NSD-G1000TSの仕様確認)
- ●総務省:無線LANのセキュリティに関するガイドライン(日本の電波出力制限の背景)
- ●総務省:電気通信消費者保護の取組
- ●TP-Link:アクセスポイントモード(ブリッジモード)への設定方法



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